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神様のドングリ- マモリギ その7 -

はじめて読む方は神様のどんぐり- はじまり -からお読みください。

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神様のドングリ- マモリギ その6 -からの続き。

戦車を繋ぎ止めていたロープが宙を舞い鳴き声のような音を立てて空を切ります。

それと同時に鈍い音とともに戦車はその巨体を転がし始めました。

轟音とともに丘を下る戦車。

マモリギへと通じる道先にはまだ、ドリの姿がありました。

・・・ ◇◆ マモリギ その7 ◆◇ ・・・

地鳴りのような音をたてながら戦車はまっすぐマモリギへ向けて丘を下り始めました。

動き出した戦車は想像以上に圧倒的な力強さを纏っています。

動物たちは皆、その轟音と転がり落ちていく姿を見守っています。

戦車を動かす指示をした兎ですら、目を回してその姿を驚くような表情で見ています。

一方、丘の下にいたドリと猿とリスたちも丘の上から何かが転がってくるのを確認していました。

「おいおい、マズイことになったぞ。。」


猿は轟音とともに下り落ちてくるものが戦車であることをすぐに理解しました。

リスたちも戦々恐々としてちょこまかと動き回っています。

「なあ、アンタ本当にここはヤバいぜ?早く逃げよう!」


猿は顔に嫌な汗をかきながらもドリを説得します。

しかし、ドリは毅然とした表情を崩さずに転がってくる戦車に挑むようにその場に座り込むのでした。

猿とリスたちは懸命にドリの身体を持ち上げて動かそうとしましたが、どうにもなりません。

その間も戦車は刻一刻と迫ってきています。

「クソ!もうだめだ。。」


猿はしわくちゃの顔をさらに皺皺にして泣きながら頭を抱えています。

リスたちもパニックになり泣きながら、走り回っています。

ドリは座り込み静かに祈りを捧げています。

そして、運命の瞬間は訪れました。

目の前に立ちはだかるかのような大きな影。

瞬きするほどの間しかなかったはずなのにそれは永遠であるかのように感じられました。

時が止まったかのような静寂。

爆発したのかというような音が周囲に鳴り響きました。

あたりは粉塵のような土埃が舞っています。

そして、誇りが収まるとそこには横たわる戦車の姿がありました。

載せていた大岩は脇に転げ落ち、勇姿を誇っていた戦車は今は哀れな姿をさらしています。

最初にその姿を目にしたのは地面に突っ伏していた猿でした。

猿はギリギリまでドリの身体を動かそうと努力していましたが、戦車がぶつかる寸前のところで、横に飛びのいたのです。

一瞬の出来事で、猿は危険を回避したのでした。

咳こみながらも猿は土埃が落ち着いてくるとあたりの様子をボー然とした表情で見渡しました。

リスたちの姿が見えません。

猿はよろよろと歩いていくと、リスたちが泣きながら何かの周りをぐるぐる回っている姿が視界に入ってきました。

「ねえ!起きて!起きてってば」


リスたちは泣きながらぐるぐる回り、呼びかけています。

そこには、土埃で汚れ、ぐったりとした山猫の姿がありました。

猿は、横たわるドリの姿を見て顔を真っ青にして、次に哀れな姿をさらす戦車に目をやりました。

その時、何が起こったのかをすべて理解したのです。

あの巨体の戦車に立ち向かい、本当にその行く手を阻むことに成功したのだというとを。


・・・続く

神様のドングリ- マモリギ その8 -へ続く


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神様のドングリ- マモリギ その6 -

はじめて読む方は神様のどんぐり- はじまり -からお読みください。

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神様のドングリ- マモリギ その5 -からの続き。

マモリギを守ろうと、戦車とマモリギの間の坂道に立ちはだかるドリ。

そのドリをリスたちや猿が説得しています。

でも、ドリの決意は変わりません。

マモリギを打ち倒す計画を止めさせるべく坂道を一歩ずつ進むドリ。

一方で丘の上では、ドリの後を追いかけてきたバリスの姿がありました。

・・・ ◇◆ マモリギ その6 ◆◇ ・・・

バリスは丘の上につくと動物たちの騒めきに嫌な予感を感じました。

集う動物たちの間を抜けながら、進んでいくと急に道が開けました。

その向こうには険しい顔をした兎の姿があります。

一体何があったというのか。

バリスは開かれた道を兎に向かって進んでいきます。

「お前がバリスか!」


兎は尊大にバリスに問いかけます。

「そうです。一体何があったのですか。。?」

「何があったのかだと?悠長なことを言っている場合ではない!」

兎はますます、声を荒げて、バリスに詰め寄ります。

「お前のところのドリとかいう山猫が我らの計画を邪魔しているのだ!」

兎の言葉を聞いて、再びバリスの顔色が青く変わります。

飛び出ていったドリの後を追うようにしてやってきたバリスでしたが、どうやら悪い予感は的中したようです。

「ドリはどこに・・?」

バリスが問うと兎は、不機嫌そうに丘の下を指さします。

バリスはやはりそうか・・と心でうなずきました。

今回のマモリギを打ち倒す計画に談判するだけならば、もっと近いバリスが通ってきた道で来れば良かったのです。

しかし、ドリはあえて、自分の身をていしてでも、マモリギを守ろうとしているのです。

計画をドリに教えればこうなることはバリスには分かっていたのです。

でも、言わずにはいられませんでした。

バリスは兎の方を向き直り言いました。

「もう、止めにしませんか。(汗)十分に神様のドングリも取れたじゃないですか・・?」

バリスは、ともかく事態の解決を図るべく、苦し紛れに兎の説得を試みました。

「馬鹿を言うな!メフィス様の命令を無視できるものか」

兎は取り付く島もありません。

それでも、必死でバリスは食い下がります。

「こんなことしなくっても、俺が頑張って神様のドングリを沢山見つけて見せます。なんなら、俺の取り分も差し出してもいいです」

「ふん!貴様ごときが踏ん張ったところで何になる。貴様の取り分など雀の涙。そんなもので、補いきれるか!」

「でも、でも・・・」

「もういい!」

兎は堪忍袋の緒が切れたといわんとばかりの叫び声をあげると大岩を乗せた戦車の方を向きました。

戦車を転がす係りを命じられている動物がはじかれたように兎の方を見ます。

「発進させろ!あのデカぶつの樹を打ち倒すのだ!」

兎はそう指示すると戦車の係りをしている動物は少し震えながら、戦車を支える留め金の部分とそれを固定している紐の部分を見つめています。

紐を断ち切れば、戦車はマモリギに向かって大岩を乗せて発進してしまいます。

もう誰も止めることは出来ません。

「どうした!早くしろ!!」

兎は凄みながらせっつきます。

「でも、道の途中に山猫が・・・」


「構わんからやれ!!!山猫一匹、この大岩が蹴散らしてくれる。これが動けばどうせビビッて逃げるに決まっている」

兎にさらに険しい顔で睨まれて、戦車の係りの動物はプルプルと震えながらも意を決して、ロープにかじりつきました。

「待って!待ってくれ」

バリスは叫びますが、動物がかじりついたロープは段々と細くなり、今にも断ち切れそうです。

ロープの繊維が一本、また一本と切れていきます。

そして、最後の繊維が小さく音を立ててちぎれると、戦車を固定していた留め金が勢いよくはずれました。

戦車は大きな音を立てて、丘を下り始めるのでした。


・・・続く

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神様のドングリ- マモリギ その5 -

はじめて読む方は神様のどんぐり- はじまり -からお読みください。

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神様のドングリ- マモリギ その4 -からの続き。

世界一の大きさを誇る樹木であるマモリギ。

その下には動物たちが恋焦がれる神様のドングリが沢山埋もれているかもしれない。

そんな思惑の中、登場したのは、大岩を頂く物々しい姿の戦車。

兎はこの戦車があればマモリギを打ち倒すことができると自信たっぷりです。

しかし、そんな思いをよそにマモリギと戦車との間に割って入る動物の影がありました。

・・・ ◇◆ マモリギ その5 ◆◇ ・・・

ヒステリックに叫ぶ兎を尻目にリスが数匹、すばしっこい足で影へと近づいていきます。

良く見ると影の正体はどうやら山猫ようです。

息を切らせながら、マモリギと戦車との間の道を登ってきています。

「ちょっとキミキミ!こんなところを歩いていたら危ないよ!」


リスたちは山猫の周りをちょろちょろと小走りに回りながら、山猫に声をかけました。

山猫は歩みを止めずに「あなたたちに酷いことをさせようとしているものに話があるの」と言いました。

リスたちはそう言われて少し困った顔でお互いを見ます。

「マモリギのことだね。キミの気持ちもわかるけど、誰も逆らえないよ」


リスたちは、山猫を説得しようとなんとか声をかけるのですが、山猫の歩みは止まりません。

ずんずんと一歩一歩、丘の上へと向かっていきます。

「たとえどんな力のあるものの命令だからってこんなこと許せない!マモリギはこの世界に暮らす動物たちを今まで守ってくれていたのよ?どうしてこんなひどいことができるの!」

今度は一瞬歩みを止めて、山猫はとても悲しい声で叫ぶように言いました。

「そうかも。。でも、でも、この道は危ないんだ。これから大きな岩を乗せたのが、転がり落ちてくるんだ。」


リスたちは懸命に山猫を説得します。

丘の上では兎がまさに暴発しそうなくらいに喚き散らし、他の動物たちがなだめている姿が見えています。

そのうち、飛んでもない行動にでそうな雰囲気です。

「何をもたもたしているのだ!リスどもは!!」


兎は不機嫌が頂点に達したかのように叫びました。

これから伝統あるマモリギを打ち倒そうとしていること。

そして、自分の作った道具の威力を試したくてうずうずしているようです。

「だいたいなんなんだあの山猫は!」


今度は不機嫌の矛先を道をふさぐ影であった山猫に向けます。

「あれは・・・バリスのとこのドリじゃな」


猪は目を細めて、山猫を見据えて言いました。

「バリス?ああ、新参者の山猫か。アイツのとこのものか。この始末はとってもらおう!」


兎は言うとバリスを大きな声で呼びつけました。

しかし、呼応するものはありません。

「バリスは一度、用があるとかで住処に戻るといっとったなあ」


猪はおっとりと言いながら、バリスの様子が少し変であったのを思い出していました。

おそらく、バリスはドリに今回のマモリギの件を黙っているわけにはいかず、話したのだろう。

猪は何となく今の状況が生まれた事態を理解しました。

「どいつもこいつも俺様の足を引っ張りやがって!」


兎はますます不機嫌となり、誰でもいいからバリスをここへ連れてくるように動物たちに命じました。

「おい、お前。丘の下で邪魔をしている山猫に伝えてこい。後、少しだけ時間をやる。それまでに道をあけろ。さもなくば、この大岩を乗せた俺様の作品が嫌でも道を開けさせるであろうとな。」


兎は尋常でない険しい表情で猿に言いました。

猿もこれはまずい感じだと察知して、急いで丘を下っていきました。

このままでは、マモリギだけでなく、動物たちの中にも巻き添えで死ぬものがでるかも知れません。

「おい、お前ら何やってんだ!そろそろヤバいぞ!兎のヤローあのデカぶつを転がすつもりだ!」


猿は大急ぎでリスたちとドリの間に入り、言いました。

「ともかく、一度、ここを離れよう!」


リスたちは懸命にドリを説得します。

しかし、ドリは首を横に振ります。

「私は絶対にここをどかない。マモリギは私が守ります。」

ドリは力のこもった声で言いました。

「無茶だよ!キミはどれだけあの戦車が大きいか知らないだろう?ぶつかったら死んじゃうよ!!」


リスたちは悲鳴を上げます。

「こいつらの言う通りだぞ」


猿もリスたちに加勢するように言いました。

「たとえあんたが、命を張って止めようとしたって、あのデカぶつは止められない。無駄死にしるだけだぜ?」


猿は、ドリを優しく諭すように言いました。

しかし、ドリの決心は変わりません。

「巻き添えにしたりはしない。もう、あなたたちは逃げて」

ドリはそういうとマモリギと戦車との間の進路をふさぐ形でまた丘を登り始めました。


丘の上では、そのやり取りを遠巻きに見ながら、イライラのピークに達する兎の姿がありました。

「あいつらは一体、何をやっているんだ!!雁首並べて馬鹿ばかりめ!!」


兎の癇癪に他の動物たちは、とばっちりを受けたくなくて、皆、黙っています。

そんな中、どこからか、兎に声をかける動物がいます。

「なんだ!くだらない報告だったら承知しないぞ!!」


案の定、とばっちりを受けつつ、おずおずと「あの、、バリスを連れてきました」
と声がします。

そして、動物たちは一斉に振り返ると道を開けます。

そこには、山猫のバリスが青い顔をして立っていました。


・・・続く

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神様のドングリ- マモリギ その4 -

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神様のドングリ- マモリギ その3 -からの続き。

ドリが住処を飛び出していった時から少し過ぎた頃、マモリギが丁度見下ろせる丘に、動物たちが集結しています。

見晴らしの良い丘です。

動物たちは何べんもこの光景を見てきたはずでしたが、今は思い思いの表情を浮かべて見下ろしています。

不安げな顔をするもの。

悲しそうな表情。

神妙な面持ちで横を向いて目をつむるもの。

そんな中、兎は高揚感を漂わせながらマモリギを見下ろしています。

・・・ ◇◆ マモリギ その4 ◆◇ ・・・

「あの邪魔な樹さえなくなれば、神様のドングリをたんまり手に入れることができるはずだ」


兎はニタニタ笑いながら、呟きました。

それを見ていた猿は薄気味悪いものを見るような顔をしています。

兎も以前はこんな性格ではなかったのです。

いつの間にか神様のドングリに魅せられてから変わってしまったのかも知れません。

「お前さん本当にやるのか?」


猪は静かにでも重い言葉で兎に語り掛けます。

「当然だ!それがメフィス様の望みでもある。そして、あの邪魔くさい樹をなぎ倒せば神様のドングリも取り放題なのだぞ?」


猪は兎の声色、表情からもう何を言っても無駄だと悟りました。

静かにかぶりをふって、後ろに下がります。

兎は鼻息を鳴らし、臆病者めという侮蔑した表情を浮かべました。

そして、後ろを振り返るとそこにそびえ立ついかつい巨大な体躯をしたものを一瞥しました。

それは、木々を組み合わせた櫓のような形をしていています。

他の動物たちもその巨大な櫓を見上げています。

櫓には車輪がついています。

さながら戦車のようです。

それは、駆り出された森の動物たちが兎の支持でつくらされたマモリギを打ち倒す秘策となる道具なのでした。

櫓の上には大きな岩が乗っています。

なんとも物々しい姿です。

「これさえあれば、どんな巨大なものでもなぎ倒すことができるだろう」


兎は道具の巨躯をたたきながら言いました。

「本当にこんなものであの巨木を倒せるのか?」


今度は猿が疑問を投げかけました。

「必ず倒せる!」


兎は不敵な笑みを浮かべながら断言しました。

しかし、そんな兎の自信のある言葉にもぴんとこない顔をした動物たちも多々います。

兎は舌打ちしました。

「頭の悪いお前たちにもわかるように説明してやろう」


そういうと兎は道具の説明を得意げに始めました。

「いいか。ここはお前らも知っての通り小高い丘になっている。見晴らしもいい。障害物がないからマモリギまで一直線だわかるな?」


兎の言葉は自明のことなので、動物たちで意義を唱えるものは誰もいません。

「そこで俺様が考案したこいつの出番というわけだ。」


兎は得意げに言うと巨躯をさらした戦車のような道具を指さします。

「お前らよく聞けよ!傾いたこの丘からこいつは真っ直ぐにマモリギに向かっていく。しかも、大岩をしょったままでだ!」


兎は自分の演説を盛り上げるように大きな声で叫びました。

「俺様の計算では、こいつの重さとマモリギに向かっていくスピードでとてつもない大きな衝撃を生み出すことができるだろう。そうすれば、さしものマモリギとて立ってはいられないはずだ!」


兎は説明し終わり動物たちの顔を見回します。

今一わからないといった、ぽかんとした表情をたたえる動物たちを見て兎はげんなりした顔をしました。

「あのよ。話はわかったけど、これって途中で障害がないことが前提だよな?」


猿は確認するように言いました。

「だから、障害などないと言っているだろう!」


兎はうんざりするような声色で言いましたが、猿はしらっとした表情で、マモリギのある途上の道を指さしています。

そこには、先ほどまでなかった何かの影が動いています。

「あれは一体なんだ!誰か確認してこい!!」


兎はヒステリックに叫びながら、頭をくしゃくしゃしています。

動物たちの中でリスが何匹か足早に影に近づいていきます。

影の少しずつ近づいていくるうちのその実体を確認することができました。

影の招待は一匹の山猫の姿でありました。


・・・続く

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神様のドングリ- マモリギ その3 -

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神様のドングリ- マモリギ その2 -からの続き。

ドリは採取した食事の材料をテーブルに並べながらバリスの帰りを持っています。

今日はドリの大事な決断と自分の考えをバリスに伝えることを決めたのです。

村里でもどこでもバリスが良いというところについていこう。

今日はその前祝の日にしよう。

ドリはバリスが帰ってくるのが待ち遠しくて仕方がありません。


・・・ ◇◆ マモリギ その3 ◆◇ ・・・

ドリが食事の準備をしていると見慣れた背格好の影が住処の入口に差し掛かりました。

ドリはすぐに振り返ってにっこりと笑いました。

「お帰り!」

バリスはドリの笑顔に対して、軽く手を挙げて微笑みかけました。

少し疲れたような顔をしているようにも見えて、ドリは怪訝そうにバリスの顔を覗き込みました。

「どうかしたの?疲れているみたいね」

「いや、大丈夫。。それより少し話があるんだ。。」

バリスは口ごもった感じで言いました。

それを聞いてドリはくすりと笑いました。

「えっ?何?」

バリスは少し驚いてドリの顔を覗き込みます。

「なんだか奇遇だなって思ったの」

「どういうこと?」

「だって、私も丁度バリスに話たいことがあるのだもの」

ドリは、自分の考えを聞いた後のバリスの驚く顔を想像してまた、くすりと笑います。

「ねえ、バリスの話たいことって何?」

ドリは元の表情に戻ってバリスに尋ねました。

バリスは少し気勢をそがれたような感じになり、目線を少し泳がせています。

「いや、いいんだ。。それよりドリの話って何かな?」

バリスは例のマモリギの件を伝える契機を失ってしまったので話題を変えました。

「実はね。」

そう切り出すとドリは自分の決心と考えをバリスに話しました。

やはり、ドリの予想通り、バリスは目を真ん丸くして驚いています。

あれだけ二人だけの今の生活に拘っていたのです。

当然のリアクションと言えるかも知れません。

そんなバリスの驚く姿をドリはニコニコしながら見ていました。

「バリス、私ね思ったの。私にとって大切なものがあるように他の動物たちにだって同じくらい大切なものがあるはず。だったら、私と他の動物たちの少しくらいの違いなんてどうだっていいことなのよね。」

ドリは落ち着いた口調で語ります。

それはかつて、自分と他者との違いに苦しんだドリの心情に掉さすものでした。

絶対的な壁を感じていたドリの心に他者とのつながりを見出すための大事な発見でもありました。

バリスは静かに聞いています。

「私が大切なのはバリスとの日々の生活。でも、本当はその大切な生活を支えているのは、私たち二人だけじゃない。」

ドリは何か想いを馳せるように遠くを見ながら言いました。

「私ね。勘違いしてた。私の幸せを支えてくれているのは、バリスがいるおかげ。だから、バリスさえ近くにいて私を支えてくれていればいいと願っていたの」

言いながらドリは伏し目がちになりました。

「でも、そんなの自分勝手な思い込みだった。バリスの気持ちを全然考えていなかった。それに他の動物たちにも色々助けられていたのに全然、わかっていなかった。。」

ドリは住処のいたるところに置かれた道具をひとつ一つ目で確認するように追いました。

テーブルに寝床に使うハンモック、木の実を入れる籠。。

全てはバリスが村里などで交換してきたものです。

「皆、何かしらで誰かの役に立っている。なのに私は自分を守ることしか考えていなかったと思う。」

ドリはテーブルの表面を少し撫でるようにしながら呟きました。

「私は自分が受け入れられないことが怖くて怖くて仕方なかったの。でも、こう思うことにしたの。皆もきっと受け入れられないのは怖いと思う。だから私は、私を受け入れてくれなかった動物たちも含めて、私は全部受け入れることにする。」

そのように言い切ったドリの瞳は強い意志がみなぎっていました。

今までのようにどこか儚く弱弱しい感じのするドリとは変わっていたのです。

バリスは、どんなドリの姿を驚きとともにまぶしささえ、覚えながら見ています。

そして、まだ、自分がドリに言っていない事情がバリスの頭をかすめています。

「ドリ。。ごめん。。」

バリスはそうつぶやくとうつむいてしまいました。

「どうしたの?バリス、さっきから何か変。」

怪訝に思ったドリは、バリスの顔を覗き込みます。

もう、これ以上、事情を胸中に秘めておくことができなくなったバリスは咳をきったようにマモリギの件を話ました。

一瞬、時が凍ったかのように静かな空間が漂いました。

ドリは、しばらく固まったままでいました。

バリスもどう声をかけていいのかわからなくなり、じっとその様子を見守っています。

ドリは、ふらふらとした足取りで、歩き始めたかと思うと急に足早に住処の入口を飛び出していきました。

「ドリ!!」

バリスの声が空しく住処の壁に反響しています。

しかし、ドリにはその声は届かず、あっという間にドリの姿は消えてしまいました。


・・・続く

神様のドングリ- マモリギ その4 -へ続く

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天心

Author:天心
こんにちは!天心と申します。
守護霊アドバイス等の取次鑑定を行っています。
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