ウサギと亀と人間 その3

涼やかな風が優しく頬をなで、野原の植物が放つ甘い香りが漂う中、ウサギは深く寝入っています。

とても気持ちの良い時間についつい、ウサギは眠りこけてしまいました。

それから幾ばくかの時間が経過しました。

ウサギは、まだ少し残る眠気の余韻に浸りながら目を覚まします。

気がつくとあたりはすっかりと陽が落ちかけていました。

「う~ん、よく寝たな」大きなアクビをするとウサギは伸びをして、山の麓の方を見下ろして確認します。

「あれ?亀さんがいないぞ?」

寝る前はまだスタート地点をのろのろと歩いていた亀の姿が見当たりません。

「・・・まさか」と慌てて山頂の方をウサギが振り返ると亀はもうゴール目前のあたりを歩いているではありませんか。

一挙に眠気が吹き飛んだウサギは、一目散に山頂へ向けて駆け出しました。

もう死に物狂いのダッシュです。

しかし、時はすでに遅し。

亀は、ウサギよりも早く、山頂にたどり着き、勝利の女神は亀に微笑むことになりました。

その後、少ししてから、ウサギも息を切らせながら到着しました。

「ウサギさん、僕の勝ちですね」と亀は相変わらずおっとりとした口調で勝利宣言をしました。

ウサギは、荒れた息を整えながら、「くそ~!油断した。悔しいが俺の負けだ!宝物は君のものだ」と負けを認めました。

それから、ウサギは、亀を馬鹿にしていたことを詫びたのです。

「いえ、大丈夫、気にしてませんよ。ウサギさんが本気だったらこの勝負、僕は勝つことはできなかったはずですから」と亀は言いました。

「いや、俺は油断した。だから、負けたんだ。それに引き換え、亀さんは休まず一歩一歩、ゴールに向けて歩くのをやめなかったから勝つことができた。すごいと思うよ」

ウサギは、もう負けた悔しさよりも、素直に亀の実直さに関心する気持ちに変わっていました。

「そんなに褒められると照れますね。でも、ウサギさんだって素晴らしいと思います。途中で自分の油断に気づいてちゃんとこうしてゴールまでたどり着いたじゃないですか。僕はそれはすごいことだと思いますよ」

亀に言われて、ウサギは少し恥ずかしそうにそれでもどこか嬉しそうな顔をしました。

こうして、ウサギと亀は、勝負を通してなんとなく友情を深めたのでありました。

そんな二人の友情の余韻を切り替えるかのように「ところで」と亀さんは切り出しました。

「人間さんの姿が見えないのですが、どうしたのでしょうかね」

ウサギは亀に言われて、人間の存在を思い出しました。

そうです。ウサギはもともと、一番の強敵は人間になると踏んでいました。

もし、自分が負けるとすればそれは、きっと人間に対してだろうと思っていたのです。

しかし、山頂のゴールには人間の姿はありません。

周囲を探してみましたが、どこにも人間の影すら見つけられません。

ウサギは、少し考えて、ハッと我に帰ると、山頂の見晴らしの良い丘に立ち、勝負を始めたスタート地点の麓のあたりを見渡しました。

すると、なんとスタート地点に人間の姿を発見したのです。

相変わらず、何か俯いて、それでウロウロと落ち着きがない様子でとどまっています。

「あいつ、一体何やってるんだ?」ウサギはもうわけがわからなくなりました。

ウサギと亀と人間の勝負は終結を迎えましたが、どうにもスッキリしない疑問が最後に残ってしまいました。

さて、どうして人間はスタート地点から一歩も進まずにとどまっていたのでしょう。

一体何があったのか。

次回に続きます。


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