神様のドングリ- タイラーの誤算 -

はじめて読む方は神様のどんぐり- はじまり -からお読みください。

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神様のドングリ- 村里のにぎわい -からの続き。

・・ここはどこだ?

・・・・ここはどこなんだ?

何も見えない、光が一切ない孤独な闇。

タイラーは光を求めて手探りで進みます。

ドロドロの沼のようなぬかるみに手足を取られて、動けないで困っています。

・・どうして誰もいないんだ!

・・・・どうして誰もいないんだ!!

タイラーは泣き叫んでいます。

しかし、その声も沼に吸い込まれてしまうようにくぐもった音が自分の耳に虚しく響いています。

全身、汗まみれになって泥沼から抜け出ようとタイラーはもがいています。

その時、ゴー、ゴー、ドーン、ゴロゴロという大きな音が当りを届きました。


・・・ ◇◆ タイラーの誤算 ◆◇ ・・・


「ウワーーッ」

タイラーは、咆哮するような叫び声をあげて、跳ね起きました。

全身は汗まみれで、心臓の鼓動もバクバクと高鳴っています。

どうやら夢を見ていたようです。

はじめて見る夢というわけではなく、物心つく頃からずっと見続けている定番の悪夢でもありました。

タイラーは手で額の汗を拭うと、「ふん!」と悪夢にうなされたことに対して、なんだか去勢をはるように笑いました。

しかし、顔はまだ青ざめています。

「夢くらいでビビったりするものか」

タイラーは吐き捨てるように言うと寝床の木陰の芝生から立ち上がり、大きく伸びをしてあくびをしました。

すると、また、ゴー、ゴー、ドーン、ゴロゴロというあの音がとどろきました。

どうやら、あの音は夢ではなかったようです。

タイラーは訝しく思い、音のする方へと足早に近づくと、動物たちがウヨウヨと集まってきています。

数えきれないくらいの動物たちです。

これほどの動物たちをこのあたりの山で見かけるのは初めてのことでした。

動物たちは、一生懸命、あちこちの草はをかき分け、土を掘り起こしています。

そのため、美しい草原が広がっていた地帯はボコボコと穴が空いて見るかげもありません。

あまりに土を掘り起こしてしまったため、あちこちの樹が倒れています。

ドーン、ゴロゴロ・・・

また、一本、樹が倒れて、斜面になっている土手を転がり落ちていきます。

タイラーは一瞬、呆然として立ち尽くすばかりでした。

一体、山で何が起こっているのかすぐには把握できません。

ゴー、ゴー、ドーン・・・

そうしている間にまた一本、樹が目の前で倒されていきます。

その樹は、タイラーが主に食べている木の実の成る大切な樹でした。

「オイ、コラ!ヤメロー!!!」

タイラーはあらん限りの声で怒鳴りましたが、動物たちの手は止まりません。

慌てたタイラーは、丁度、穴をほっているイノシシの前に躍り出ると耳元でもう一度、「ヤメロー!!!」と叫びました。

その声に穴をほっていたイノシシの一頭がタイラーの方に眠たそうな表情で見返してきました。

「なんじゃね?大きな声を出して」

イノシシは声まで眠そうにして、おっとりとした口調で言いました。

「なんじゃ?じゃねー!!!、俺様のテリトリーで何してやがる!」

タイラーは自分の主食の木の実の樹を倒されたことと、自分のテリトリーを動物たちに侵されていることに対しての憤慨をイノシシにぶつけました。

イノシシはゆっくりとした動作でタイラーへ振り返ると腕組みをして静かに大きく鼻息を漏らしました。

「お前さんの言うこともよーくわかる」

イノシシは言うとウンウンと呑気な構えでうなずきました。

「だったら、さっさとここから出て行ってもらおうか!」

タイラーはあさっての方向を指さして、いずこかへ去るように促します。

するとイノシシは少し困った顔をして言いました。

「そうもいかんのさ。これがワシらの仕事じゃからなあ」

「仕事だと!?俺様のテリトリーを荒らすことがか!」

タイラーはまた憤慨して言いました。

「お前さんのテリトリーかどうかは知らんが、わしらの仕事は神様のドングリを集めることじゃよ」

神様のドングリ。

タイラーにとって、その言葉は聞き覚えるのあるものです。

何しろ神様のドングリはタイラーが思いつきででっち上げた代物です。

「腐った・・・いやいや、神様のドングリを探すのが仕事だって言うのか?」

「そうじゃよ。ちゃんと集めないと雇い主にどやされるからなあ」

フンフンとひとり頷きながらイノシシは腕を組んでいます。

「だったら雇い主に言ってくれ!神様のドングリなんてくだらないものを集めるのはヤメロってな」

タイラーが言うとイノシシはさらに困った顔をして言いました。

「それは難しいと思うのお。雇い主は岩窟の王者メフィスじゃならなあ」

タイラーもメフィスの名前は聞き及んでいました。

というよりもこの界隈で暮らす動物たちで岩窟の王者メフィスの名前を知らぬものはいないくらいです。

メフィスは大きな虎で、とても残忍で暴力的な存在でもありました。

普段は岩窟のある岩場のゴツゴツした動物たちが近寄れない場所をテリトリーにしています。

時折、山の方に降りてきては、森の動物達の食料を略奪したり、小動物を恫喝していうことを利かせてました。

おそらく、動物たちでメフィスに意見できるものなど、まず、いないことでしょう。

どんな相手でも手球にとってきたタイラーでありましたが、メフィスだけは、別格として一目置いてもいたのです。

タイラーは眼をつぶり一瞬、考えてこんで、その後、眼を開くとメフィスと対峙する決心を固めました。

こうして、タイラーは神様のドングリをめぐる騒動へに終止符を打つべくメフィスの居る岩場へと向かうのでありました。


・・・続く

神様のドングリ- ドリの祈り -へ続く


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