神様のドングリ- 岩窟の王者 -

はじめて読む方は神様のどんぐり- はじまり -からお読みください。

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神様のドングリ- 野心 -からの続き。

自然豊かな草原から大分、離れたところ。

寒々しいくらいに冷たい灰色の岩肌に囲まれた場所。

動物たちの気配は消えて、一種異様な緊張感のようなものが漂っています。

まるで砦のような岩場の城壁を進んでいくと、大きな岩窟がぽっかりと口を開けています。

その口を睨む狐のタイラーの姿があります。

岩窟の入り口の両脇には、まるで歩哨を行う兵士のように立っている狸と犬の姿もあります。

森でからかい半分に神様のドングリをでっち上げた時にいたあの狸と犬です。

ついにタイラーは岩窟の王者メフィスの住処へとやってきたのでした。


・・・ ◇◆ 岩窟の王者 ◆◇ ・・・

タイラーはしばらく入り口を睨んでいました。

さすがのタイラーもメフィスと対峙するのは緊張を隠せません。

ゴクリとツバを飲み下すと、身体をブルブルと振るわせて両手で顔をパンパンと叩いて気合を入れます。

メフィルには力で折伏できない以上、タイラーには持ち前の弁舌と理屈でそれを行う必要があります。

なめられたら終わりという思いがタイラーにはありました。

タイラーは体勢を整えるといつものひょうひょうとした態度で、入り口付近に立っている狸と犬のもとへ近づいていきます。

「ヨー!君たち、こんな寒々しいところでバカ面をさらして何をしてるのかな?」

タイラーはいつもの調子で狸と犬を挑発しながら二匹の方に近づいていきます。

「なんだと!」

犬が憤って、タイラーに噛み付こうとします。

「まあ、待てよ」それを狸が静かに止めます。

「タイラーよ。あまり俺らをなめない方が見のためだぜ」

狸は不敵に笑い顔をしながら言いました。

「俺たちは、この岩窟の王者メフィス様の第一の家来なんだからな」

岩窟を指しながら狸はどうだ!と言わんとばかりです。

タイラーはそれを受けて、益々、小馬鹿にしたような顔をしました。

「虎の威光にすがる狸と犬か。笑えるな」

「お前にはわからないだろうから教えてやる。メフィス様は、今やこの世界で一番の神様のドングリ持ちなんだぞ?最早、誰も逆らうことなどできないんだよ?わかったか!」

狸は言い放ちました。

「ふん。話にならんバカどもだな。もういいから、さっさとお前らのご主人様へ取り次げ」

「お前があってどうする?家来にしてもらうつもりか?俺らは許さんがな」

狸と犬は、タイラーを指さしながら、罵りました。

そんなやりとりを行っていると、岩窟の入り口の奥から、心胆を寒からしめるような雄叫びの一声が鳴り響きました。

その声を聴けば大抵の動物は縮み上がってしまいます。

狸と犬も例外なく、ブルブル震えながら、地に付して耳を塞ぎます。

タイラーはかろうじて、厳しい顔をしながら、入り口をにらみます。

「貴様ら、何を騒いでいる。我が安眠を妨げるとは良い度胸をしているな」

岩窟の奥から野太い声が響きます。

眠っていたらしく、機嫌の悪い声色です。

「も、申し訳ありません!!のら狐が一匹、メフィス様のお住まいに入り込んだようで、我々が対処していたところです」

狸と狐は恐ろしさのあまり、顔を上げることもできず、ひれ伏したまま、震える声で岩窟に向かい言いました。

「狐か。いいだろう。こっちに連れて来い」

野太い声が狸と犬に命じます。

恭しく狸と犬がその声に応じると、狸と犬は大汗をかきながら、タイラーを岩窟の中へと促しました。

いよいよ、メフィスとの対峙です。

タイラーは、なるべく緊張を気取られないように岩窟の中へと足を踏み入れていくのでした。

・・・続く


神様のドングリ- 岩窟の王者 その2 -へ続く


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