神様のドングリ- マモリギ -

はじめて読む方は神様のどんぐり- はじまり -からお読みください。

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神様のドングリ- 岩窟の王者 その3 -からの続き。

岩窟の王者メフィスと狐のタイラーが対峙している頃、森では大掛かりな神様のドングリ探しが始まっていました。
あちこちの木々は倒され、地面は穴ぼこだらけです。

森の方々をあらかた探しつくしてしまった感があります。

動物たちが一か所に集まり、何か話し合っているようです。

そこには、神様のドングリを最初に探し始めた三匹の動物の中の兎の姿がありました。

兎を中心にして、動物たちが集まっています。

その動物たちの中には山猫のバリスの姿もありました。


・・・ ◇◆ マモリギ ◆◇ ・・・

兎は大きな声を張り上げて、集まっている動物たちに演説をしています。

さながら現場監督が労働者に激を飛ばしているかのようです。

「いいか、お前ら!皆で力を合わせれば、もっともっと神様のドングリを手入れれることができるはずだ」


兎は熱っぽく語っています。

それを少し疲れた表情で、どこかギラつきある眼差しで見つめる動物たち。

その中にはバリスの姿もありました。

「お前ら一人ひとりは非力だが、このように協力することで多くの成果を上げることができているのだ」


兎は自分の語らう言葉に酔うように続けます。

「そもそも、こうして協力しあえるのはメフィス様の威光があってのことだ!しかも、成果の高いものにはそれ相応の分け前もくださるとのことだ!なんと有難いご慈悲ではないか!」


兎は今にも泣いて見せそうなほど、自分に酔っていましたが、聴いている動物たちはどこかで冷めた表情を浮かべています。

そもそも、メフィスに逆らえるものなどいないのです。

どちらにせよ協力するしかないのです。

そして、どうせ従うしかないのであれば、できるだけ自分の分け前を増やしたいと思っている動物たちがほとんどなのでした。

しかし、表立って、それを口にするものはいません。

よく喋る兎の態度に辟易しながらも、その背後にいるメフィスに怯えて、とりあえず、我慢しているわけです。

そんな動物たちの中でもバリスだけは、兎にもメフィスにも関心は向いていませんでした。

頭にあるのは、ドリのことだけです。

変な別れ方をしてしまい、気になって仕方ありません。

急に飛びだして来てしまったことを帰ったら謝ろう。

そう思うバリスでありました。

それに神様のドングリを沢山、手に入れて暮らしが豊かになればドリの考えだって変わるかも知れない。

そんな風に考えたりもしました。

ともかく、今は神様のドングリを多く集めることだけを考えよう。

そう心に誓っていると兎が再び、大きな声を張り上げて語る声に意識を現実に戻されました。

どうやら兎の演説はクライマックスに差し掛かっているようです。

「いいか!よく聞くのだ!」


兎は殊更に声を張り上げて言います。

「もう、ここら一帯の森には神様のドングリはないように思われる。そこで…」


兎は言いながら、身体を回れ右させながら、遠くにそびえ立つマモリギの樹を指さしました。

「やはり、神様のドングリはマモリギの近辺と樹下に大量に埋蔵しているように思われる」


兎がマモリギの名を出すと今まで黙って聞いていた動物たちも表情を変え、中には青ざめた感じになるものもいて、少し騒然となってきました。

それを見た兎は、静まれ!と両手を広げて動物たちに激を飛ばします。

「お前らが不安になるのもわかる。確かにマモリギには手を出してはならない。これが昔からの言い伝えだ」


動物たちはなおも不審な表情を浮かべながら兎に視線を注いでいます。

「だが、それはただの迷信だ!今までだって災厄など起こったことはない。今こそ我々は古い慣習を脱却すべき時なのだ!」


再び、熱っぽく兎は弁を振るいます。

そんな中で動物たちの中の猿が一匹、手を挙げています。

「なんだ?何か意見でもあるのか?」


「あんちゃんの言うこともわかるけんど、それは今までマモリギに手を出してこなかったからじゃろ?」


猿が言いました。

「それは結果論に過ぎん。そもそも、マモリギに害が及ぶとき災厄があるという根拠はなんだ?古臭い言い伝えだけではないか!」


兎は迷信に流される動物たちを侮蔑するかのような顔をして言いました。

すると今度は猪が手を挙げています。

「お前さんの意見はようわかった。だが、マモリギはこの森においても一番の巨木じゃぞ?どうやってあの下を掘り起し探すんじゃ?ワシも腕っぷしには自信があるが、あの巨木をなぎ倒す自信はさすがにないぞい」


猪は眠たそうな声で兎に言いました。

兎はそれを聞くと少し不敵な笑みを浮かべました。

「なるほどな。確かにあの巨木を倒すのは難儀なことだな。だが、心配はいらない。考えがある」


兎が言うと、猪はポカンとした表情をして、ならば最早言うべきことはないというふうに動物たちの後ろに下がっていきました。

「ともかくだ。よく考えろ!恐ろしいのは、ありもしない災厄の言い伝えか、それとも岩窟の王者メフィス様に逆らうことか!」


兎がそう言い放つと動物たちはシンと静まり、どうやら自分たちには選択の余地はないのだと悟ったのでした。

バリスは、この話の流れを黙って聞いていました。

「このことをドリが知ったら何というだろうか…」


バリスはドリの悲しむ姿は見たくはありませんでしたが、他の動物たちと同様で、今は、この流れに逆らえることもできないことも感じていました。

ともかく、神様のドングリを手に入れよう。

そのことだけを考えるように努めるバリスなのでした。

・・・続く

神様のドングリ- マモリギ その2 -へ続く


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