神様のドングリ- マモリギ その3 -

はじめて読む方は神様のどんぐり- はじまり -からお読みください。

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神様のドングリ- マモリギ その2 -からの続き。

ドリは採取した食事の材料をテーブルに並べながらバリスの帰りを持っています。

今日はドリの大事な決断と自分の考えをバリスに伝えることを決めたのです。

村里でもどこでもバリスが良いというところについていこう。

今日はその前祝の日にしよう。

ドリはバリスが帰ってくるのが待ち遠しくて仕方がありません。


・・・ ◇◆ マモリギ その3 ◆◇ ・・・

ドリが食事の準備をしていると見慣れた背格好の影が住処の入口に差し掛かりました。

ドリはすぐに振り返ってにっこりと笑いました。

「お帰り!」

バリスはドリの笑顔に対して、軽く手を挙げて微笑みかけました。

少し疲れたような顔をしているようにも見えて、ドリは怪訝そうにバリスの顔を覗き込みました。

「どうかしたの?疲れているみたいね」

「いや、大丈夫。。それより少し話があるんだ。。」

バリスは口ごもった感じで言いました。

それを聞いてドリはくすりと笑いました。

「えっ?何?」

バリスは少し驚いてドリの顔を覗き込みます。

「なんだか奇遇だなって思ったの」

「どういうこと?」

「だって、私も丁度バリスに話たいことがあるのだもの」

ドリは、自分の考えを聞いた後のバリスの驚く顔を想像してまた、くすりと笑います。

「ねえ、バリスの話たいことって何?」

ドリは元の表情に戻ってバリスに尋ねました。

バリスは少し気勢をそがれたような感じになり、目線を少し泳がせています。

「いや、いいんだ。。それよりドリの話って何かな?」

バリスは例のマモリギの件を伝える契機を失ってしまったので話題を変えました。

「実はね。」

そう切り出すとドリは自分の決心と考えをバリスに話しました。

やはり、ドリの予想通り、バリスは目を真ん丸くして驚いています。

あれだけ二人だけの今の生活に拘っていたのです。

当然のリアクションと言えるかも知れません。

そんなバリスの驚く姿をドリはニコニコしながら見ていました。

「バリス、私ね思ったの。私にとって大切なものがあるように他の動物たちにだって同じくらい大切なものがあるはず。だったら、私と他の動物たちの少しくらいの違いなんてどうだっていいことなのよね。」

ドリは落ち着いた口調で語ります。

それはかつて、自分と他者との違いに苦しんだドリの心情に掉さすものでした。

絶対的な壁を感じていたドリの心に他者とのつながりを見出すための大事な発見でもありました。

バリスは静かに聞いています。

「私が大切なのはバリスとの日々の生活。でも、本当はその大切な生活を支えているのは、私たち二人だけじゃない。」

ドリは何か想いを馳せるように遠くを見ながら言いました。

「私ね。勘違いしてた。私の幸せを支えてくれているのは、バリスがいるおかげ。だから、バリスさえ近くにいて私を支えてくれていればいいと願っていたの」

言いながらドリは伏し目がちになりました。

「でも、そんなの自分勝手な思い込みだった。バリスの気持ちを全然考えていなかった。それに他の動物たちにも色々助けられていたのに全然、わかっていなかった。。」

ドリは住処のいたるところに置かれた道具をひとつ一つ目で確認するように追いました。

テーブルに寝床に使うハンモック、木の実を入れる籠。。

全てはバリスが村里などで交換してきたものです。

「皆、何かしらで誰かの役に立っている。なのに私は自分を守ることしか考えていなかったと思う。」

ドリはテーブルの表面を少し撫でるようにしながら呟きました。

「私は自分が受け入れられないことが怖くて怖くて仕方なかったの。でも、こう思うことにしたの。皆もきっと受け入れられないのは怖いと思う。だから私は、私を受け入れてくれなかった動物たちも含めて、私は全部受け入れることにする。」

そのように言い切ったドリの瞳は強い意志がみなぎっていました。

今までのようにどこか儚く弱弱しい感じのするドリとは変わっていたのです。

バリスは、どんなドリの姿を驚きとともにまぶしささえ、覚えながら見ています。

そして、まだ、自分がドリに言っていない事情がバリスの頭をかすめています。

「ドリ。。ごめん。。」

バリスはそうつぶやくとうつむいてしまいました。

「どうしたの?バリス、さっきから何か変。」

怪訝に思ったドリは、バリスの顔を覗き込みます。

もう、これ以上、事情を胸中に秘めておくことができなくなったバリスは咳をきったようにマモリギの件を話ました。

一瞬、時が凍ったかのように静かな空間が漂いました。

ドリは、しばらく固まったままでいました。

バリスもどう声をかけていいのかわからなくなり、じっとその様子を見守っています。

ドリは、ふらふらとした足取りで、歩き始めたかと思うと急に足早に住処の入口を飛び出していきました。

「ドリ!!」

バリスの声が空しく住処の壁に反響しています。

しかし、ドリにはその声は届かず、あっという間にドリの姿は消えてしまいました。


・・・続く

神様のドングリ- マモリギ その4 -へ続く

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