神様のドングリ- マモリギ その8 -

はじめて読む方は神様のどんぐり- はじまり -からお読みください。

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神様のドングリ- マモリギ その7 -からの続き。

土煙を立てて突き進んだ勇ましい戦車は、今や哀れに横たわっています。

上に載せていた大岩は転げ落ちてしまっています。

一瞬の静寂。

泣きまわるリスたち。

ドリはピクリとも動きません。

・・・ ◇◆ マモリギ その8 ◆◇ ・・・

戦車が転倒し哀れな姿をさらし、マモリギを打ち倒すという目的が完全に失敗した一部始終を丘の上の動物たちも目の当りにしました。

固唾を飲み込み、まるで石になってしまったかのように動物たちはその場を動けませんでした。

一体、何が起こったのか。

段々、状況が掴めてくると動物たちの中からさざ波が広がるように、動揺する声が沢山、聞こえてきます。

「・・・山猫はどうなったんだ?」

「まさか、死んでしまったの?」

「ひどい・・・」

不安げな声色から、段々と怒りのような声、ついには泣き出す動物たちも現れて、丘の上は徐々に騒然となってきました。

兎は、真っ青な顔をしてプルプルと震えています。

身体中、やな汗をかきながら、何かぶつぶつ言っています。

「なんで・・・普通、逃げるだろ・・俺は悪くない・・だって、メフィス様が・・」


そんな混乱した兎を突き飛ばすようにバリスは掴みかかりました。

「なんてことをしてくれたんだ!なんてことを!!」

突き飛ばされるような形になった兎は情けない顔をして地面に転びました。

兎の上に馬乗りになり、殴ろうとするバリス。

しかし、そっと肩に置かれる手がバリスを一瞬の狂気から目覚めさせました。

「そこまでにしておくのだ」


猪がバリスを制止します。

「それより、今は他にすべきことがあるじゃろう・・?」


そう諭されてバリスは我に返り、掴んだ兎の身体を離すと、血相を変えて丘を駆け下りていきました。

兎はそのまま倒されたまま、まだ、ぶつぶつ言っています。

その姿を猪は憐れむように見据えると、ため息をついて言いました。

「もう、お前さんの言うことは聞けないぞい。ワシは神様のドングリ探しは、もう降りる。」


猪は、大きな身体をのそりのそりと動かしながら、兎の元から離れていきました。

他の動物たちもそれに呼応するかのように半数はその場を去り始め、もう半数はどうしたものかわからずにただオロオロするばかりです。

そんな丘の状況を尻目にバリスは丘を駆け下りていきます。

「ドリ・・・ドリ!!」

叫びながら、途中の小石につんのめり、バリスは丘の上を転がり倒れてしまいました。

全身、打ち身や擦り傷を作りながらも、転んだ身体をすぐさま起こして、ドリの元へと駆け寄ります。

ドリの周りにはリスたちが泣きながら走り回り、難しい顔をした猿が佇んでいます。

バリスが近づくと猿は悲しそうな顔をして横にかぶりを振りました。

「そんな・・・ドリ!しっかりして、目を開けて!!」

ドリのすぐそばに跪くようにへたりこむとバリスは、何度も悲痛な声でドリに話かけます。

しかし、ドリはボロ雑巾のようになり、ぐったりとして動きません。

あの戦車を一人で止めるなんて、そんな無茶をなんで・・・

バリスはドリの身体の上にポタポタと涙のしずくを垂らしながら、悔やんでも悔やみくれない思いで胸が張り裂けそうな想いで動かぬドリを見守っています。

「ドリ!しっかりするんだ!一緒に村に降りて暮らすんだろ?新しい生活を始めるんだろ?」

バリスは泣きさけぶとドリの身体が少しだけ動きました。

心もとないおぼつかない手でドリはゆっくりとバリスの顔に手をやったのです。

そして、薄らと開けた瞼の中の瞳には、ドリの命の炎が消えかかっていること表すような弱々しい光が揺らめいています。

「バリス・・・ごめんね」

かすれた声でドリは言いました。

「ドリ!しっかりして!家に帰ろう。きっとこんな傷すぐになおる」

「泣かないで。。私はいつでもマモリギと一緒にあなたの傍にいるから」

「もちろんだ!当り前さ。俺はどこにもいかない。二人でまた今まで通り静かに暮らそう。ドリがいれば他には何もいらない」

必死に訴えるバリスにドリは最後の力を振り絞るかのように微笑んで言いました。

「お願いがあるの。私が死んだら身体をマモリギの見える場所に埋めてほしい。いつでもこの世界の動物たちを見守れるように」

「何を言ってるんだ!こんな傷で死ぬもんか!!ドリがこんなことで・・」

「バリス・・誰も傷つかない、皆が・・幸せに暮らせるように・・」

最後の生命の輝きスパークさせるように紡ぎだされたドリの言葉はたどたどしく、かすれていて良く聞き取れません。

しかし、それがドリの生涯最後の言葉となったのです。

そして、ドリは静かに眠るように息を引き取ったのでした。


・・・続く

神様のドングリ- 予言の兆し -へ続く


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