神様のドングリ- 予言の兆し -

はじめて読む方は神様のどんぐり- はじまり -からお読みください。

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神様のドングリ- マモリギ その8 -からの続き。

尊い小さな命が召された時。

ただ慟哭だけがその場を支配しています。

ドリの死に後悔と悲しみと様々な思いを抱くバリス。

そんな冷たく重たい時間が過ぎ去ってから、数日後のこと。

マモリギの傍をお腹を空かせて肩を落とした狐の姿があります。

・・・ ◇◆ 予言の兆し ◆◇ ・・・

美しい樹木やたわわに実る果実でいっぱいだった山道。

しかし、今はあちこち樹木はなくなり、マモリギだけが平原の中に寂しくそびえ立っています。

地面も穴だらけであった場所にようやく小さな草が生えてきていますが、食べられそうな植物は見当たりません。

時折、キューっという小動物の鳴き声のような音をお腹が立てると狐のタイラーはなだめるように摩りました。

「腹減ったな・・・」

弱々しい声で呟きながら、同時に自分のしたことを振り返っています。

神様のどんぐり。

最初は悪戯半分で思いついた嘘でした。

でも、それを利用して森の動物たちを支配しようと企むものが現れるとは夢にも思っていなかったのです。

あの岩窟の王者メフィスとの対峙でタイラーは自分自身の浅はかさを痛感させられずにはいられませんでした。

結果、タイラーは自分が主食としていた木の実のなる樹木も安心して暮らせる住処も奪われることになってしまったのです。

しばらくは、あちこちを歩き移動しながら、食べ物や寝場所を探してきました。

しかし、タイラーにフィットする食べ物も住処もそう簡単に見つかりません。

歩き疲れて、結局、気づくとマモリギの傍を歩いていました。

この世界で一番大きいといわれる樹木。

世界の守護神であるマモリギ。

タイラーは今まではそんな言い伝えを耳にするたびにバカにしたような気持ちでいました。

物言わぬ樹木が一体何を守るというのだ・・と。

でも、今は歩き疲れてマモリギに寄りかかるように背中を持たれて一眠りしたい気分でした。

そして、実際にマモリギにもたれかかると非常に気持ちが良く何だか自分自身が抱きしめられて、守られているような気分になってきました。

「マモリギ・・か。まんざら嘘でも・・」

気持ちの良さから何かをつぶやこうとしましたが、それよりも前に瞼が下りてきて、心地よい睡魔の誘いに導かれて、眠りに入ってしまうタイラーなのでした。

タイラーが眠りの淵に落ちてから幾ばくの時間が流れたでしょう。

タイラーはふと何かの気配を感じて、目覚めました。

キョロキョロと周囲を見回してみましたが、他の動物の気配はありません。

気のせいか。

そう思おうとしたときに何か光のようなものがタイラーの顔を直撃しました。

思わず顔をのけぞらせて、手で光を遮りながら、光の発する正体を見極めようと目を細めて睨みます。

光を発しているのはマモリギでした。

樹木全体が光のベールに包まれています。

「これは・・・夢か?」

タイラーは自分はまだ寝ぼけているのかと頭を左右にブルブルふってからもう一度、マモリギを見ました。

さっきよりかは視界はハッキリとしていますが、やはりマモリギが光っているのを再確認しました。


タイラーよ

孤独な狐よ

無知なるものよ

お前は何故この世界を滅ぼすことに手を貸したのか

どこからともなく聴こえてくる声があります。

タイラーは再びキョロキョロと周囲を見渡しますが、やはり動物の気配はありません。

一体、どこから声が・・・

タイラーが訝しんでいると再び声は語り掛けてきます。


タイラーよ

お前の探しているものは今目の前にいる

先入観がお前を盲目にしている

よく見据えて受け入れるのです


耳を澄ましても、どこから聴こえてくるのかは分かりません。

ここにいるのはタイラーだけ。

いや、タイラーとマモリギだけなのです。

「まさかマモリギが・・?」

一瞬、そんなことが頭に浮かびますが、タイラーは苦笑いして心の中でそれを否定しました。

そんな馬鹿な。

樹が喋るわけがない。

そんなことをタイラーが考えていると突如、マモリギが再び光を強く放ち、樹木全体が揺れて、枝葉がわさわさと音をたてました。

突然のことにタイラーはビックリしてマモリギを凝視すると再び声が聞こえました。


タイラーよ

罪深きものよ

孤独なる哀れなものよ

括目しなさい

耳を傾けなさい

世界の終りを止める最後の機会を逃さぬように



今度はさしものタイラーも絶句してマモリギをただ茫然と見据えています。

目の前で信じられないことが起こっているのをみて動けないでいます。

タイラーはごくりと固唾を飲み込むと呟きました。

「なんてこった。樹がしゃべってやがる」


・・・続く

神様のドングリ- 予言の兆し その2 -へ続く

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