神様のドングリ- メフィスの栄華 -

はじめて読む方は神様のどんぐり- はじまり -からお読みください。

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神様のドングリ- 予言の兆し その3 -からの続き。

孤独な狐、タイラーがマモリギから世界の危機を知らされる一方で、この世の栄華を誇るものもいます。

岩窟の王者メフィスは大きな隆々たる筋骨を誇り、その虎縞の肌は雄々しく艶めいています。

元々、王者の貫録を持つ虎ではありましたが、神様のドングリをうまく活用して動物たちを支配し、益々にその威を強くしているようです。

メフィスの天下はこのまま続いてゆくのでしょうか。

・・・ ◇◆ メフィスの栄華 ◆◇ ・・・

かつて、剣のような鋭い岩石に覆われた、足場の悪かったメフィスの根城。

要塞のように人を寄せ付けぬ、孤高なものが巣食う場所として知られていたことが、まるで嘘のように今は、賑やかで華やいでいます。

根城の岩窟は大きく改良されて、今は、一国の城を思わせる立派な建物に変わっています。

岩場はならされて、平になり、そこには市場のように立ち並ぶお店が活気づいています。

さながら城下町といったところでしょうか。

動物たちも沢山集まってきています。

城下町を抜けて、かつての岩窟の城の中には煌びやかな装飾が施されています。

以前の殺風景な岩窟とはまるで違います。

メフィスは神様のドングリを動物たちに集めさせ、その神様のドングリを使って、今までは手の届かなかった遠くのテリトリーの動物の里と交易を持つようになっていました。

自分の獰猛さを背景に恐怖支配をするだけでは、大きな実権を握ることはできない。

そう考えたメフィスは、神様のドングリを他の動物の里にも普及させていったのです。

何しろ神様のドングリの多くはメフィスが集めて掌握しています。

後は、神様のドングリに魅了させて、神様のドングリがなければ、取引も生活も成り立たなくさせてしまえば、こちらのものです。

黙っていてもメフィスに他の動物たちはかしずいてくるのです。

メフィスは城のまさに玉座とも呼ぶべき一番奥の間に座り、独り満足げに笑っています。

その周りには、他の里の各代表となる村長や長老にあたる動物が取り巻いています。

「メフィス様、ご機嫌麗しゅうございます。お近づきのしるしにどうぞお納めください」

大きな髭を蓄えた、初老の山猫が恭しく、箱に入ったキラキラした珍しい貝殻でつくられた装飾品を差し出しました。

山猫の里の村長のようです。

「折角だ。もらっておこう。だが・・」

メフィスは鋭い眼を吊り上げて、献上物を一瞥し、つまらないものをのけるかのように従事係りの動物にどこかに持ってくように指示しました。

「如何なる装飾品よりも価値のあるものがある。何かわかるか?」

「もちろん、それは神様のドングリでございましょう!」

横から割り込むように、おべっかを言うのは、毛皮が白髪交じりの狸です。

どうやら、こちらは狸の里の長老のようです。

他の取り巻く動物たちもそのおべっかに乗るように口々に神様のドングリをたたえています。

それを見て、メフィスもまんざらでもない顔をしています。

山猫の里の村長は、メフィスの機嫌を取るチャンスを狸の長老に横取りされた形となり憮然としています。

そんな山猫の里の村長の心中など関係なく、メフィスを取り巻く動物たちが、自分の里に優位に神様のドングリが回ってくることを何とか取り付けようと必死にアピール合戦が始まりました。

しばらく、ワイワイとメフィスの周りで賑やかな空気が流れていました。

しかし、メフィスの横に従事の狸がそそくさと寄ってきて、何かを耳打ちします。

タイラーに担がれて神様のドングリを最初に探し始めたあの狸です。

メフィスは、ぎろりと狸をにらむと、何かを指示しています。

指示された狸は、いそいそと、退散します。

「動物たち諸君!少し雑事が入った。そのままでしばし、お待ち頂けるかな?」

メフィスの突然の物言いにも誰も文句を言うものはありません。

一瞬で静まり返った動物たちは、何事が始まるのかと固唾をのんでメフィスを見つめています。

すると先ほどの狸が一匹の疲れきった顔をしてうなだれた兎を連れて戻ってきました。

兎は、マモリギを打ち倒す計画を立てた、あの兎です。

「皆に紹介しよう!彼こそは、あの世界を守ると言い伝えられる大樹であるマモリギを打ち倒すべく立ち上がった勇者である」

メフィスは何か含みのある笑みを浮かべながら、少し意地悪い感じの口調で、取り巻く動物たちに言いました。

動物たちの目線が一斉に兎に注視されて、顔色の悪い兎の表情は益々に青くなり、一層、うなだれています。

「さあ!君の武勇伝を聞かせてくれたまえ」

益々に意地悪な口調でメフィスは言いました。

メフィスは既にマモリギを打ち倒す計画が失敗したことを知っていました。

事の経緯は全て、メフィスの耳に入るようになっているのです。

兎は何も言えず、喘ぐように「メフィス様、そ、その、、」と何かを発するとそれを遮るようにメフィスは言いました。

「たわけが!失敗したのであろう。」

今度はいつも通りの獰猛な咆哮にも似た声でメフィスは兎を罵倒するように言いました。

兎は、わなわなと身体を振るわせ、縮み上がって何も言うことができません。

「たかが山猫一匹の妨害で吾輩の顔に泥を塗るとは、お前は随分とえらい身分になったものよ」

山猫の下りのところで、メフィスは山猫の里の村長を一瞥して、再び、兎の方へ鋭い眼光を戻します。

山猫の里の村長は、嫌な汗をかきつつ、自分の方にメフィスの怒りの矛先が向いてこないか気が気でない様子です。

「も、申し訳ありません。。次こそは!必ずご期待に応えてみせます!」

何とか、言葉を紡いでメフィスに取り入ろうと兎は言いました。

「次だと?お前に次があると思うなよ。吾輩の側近に無力で無能なものはいらぬ!」

そう叫ぶとメフィスは、従事する狸に眼で合図しました。

狸は無言で、兎の首根っこを掴むと城の出口へと引きずっていきます。

「おい!痛いじゃないか!?やめろよ。な?友達だろ??」

哀願するように兎は狸に友情を訴えかけますが、狸の兎に対する目線は冷たいものでした。

「やっちまったなお前。せいぜい、俺はお前の分までメフィス様の元で出世していくつもりだ」

狸はそう言い捨てると兎を城から叩き出したのでした。


・・・続く


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